熱中症III度に対してウォーターパッド加温装置コントロールユニット(Arctic Sun体温管理システム、Arctic Sun Temperature Management System:ASTMS)を用いて冷却を行った一症例を経験した。症例は58歳の男性。農作業中に意識消失した。Japan Coma Scale(JCS)300、腋下温42.0℃、けいれん重積状態であった。近医に搬送され、熱中症III度の診断で当院へ転院となった。ICUでASTMSを用いて冷却を開始したところ、42℃から38℃に体温下げることに3時間を要した。しかし、急速に進行するDICとなり治療に反応せずに救命することができなかった。救命できなかった原因は42℃を超える高体温が続いているのにもかかわらず、転院までの約2時間に有効な冷却がなされなかったことが挙げられる。ASTMSは非侵襲的で簡易な装置であり、冷却効率も良いため、熱中症における冷却方法として推奨される。