【背景と目的】内包・放線冠領域急性期梗塞で構音障害を呈する際の左右の多寡は従来さほど強調されていない。本研究では構音における同部位の左右の優位性の有無を検討することを目的とした。【方法】旭川医科大学ストロークチームが2006年から5年間に診療した全脳卒中患者を対象とし後ろ向き調査を行った。【結果】対象886例のうち、単発の内包・放線冠領域梗塞患者は96例。その中で急性期に構音障害を呈した43例中、左側梗塞は30例(69.8%)、右側梗塞は13例(30.2%)であった。また構音障害を呈さなかった53例中、左側梗塞は24例(45.3%)、右側梗塞は29例(54.7%)であった。χ2検定では左側梗塞で有意に多く構音障害を呈した(p=0.016、オッズ比2.79、95% CI 1.20-6.50)。【結論】内包・放線冠領域急性期梗塞で構音障害を呈する場合、左側に梗塞巣を有する症例が有意に多かった。