重症成人型アトピー性皮膚炎を対象としたシクロスポリンMECP食前投与のtherapeutic drug monitoring(TDM)の検討
著者
中村, 哲史
(Nakamura, Satoshi)
橋本, 喜夫
(Hashimoto, Yoshio)
西, 薫
(Nishi, Kaoru)
水元, 俊裕
(Mizumoto, Toshihiro)
高橋, 英俊
(Takahashi, Hidetoshi)
上位タイトル
旭川厚生病院医誌
Vol.19,
No.1
(2009.
6)
,p.14-
19
識別番号
ISSN
0917-8066
抄録
成人型重症アトピー性皮膚炎に対して,シクロスポリンMECP(CyA)を食前投与し,投与量を変更しながら有用性とtherapeutic drug monitoring(TDM)を検討した。症例は2例でいずれもCyA投与により,皮疹の重症度スコアは劇的に改善し,かゆみvisual analogue scale(VAS)も改善した。いずれも,ステロイド外用剤の強さもストロンゲストクラスから,ストロングクラスへ減弱,または,タクロリムス外用剤へ変更できた。CyA投与量を平均3.1mg/kgから2.3mg/kgへと減量,維持量相当のトラフレベルは,平均87ng/ml,平均血中最高濃度は615ng/ml,0から4時間の血中濃度曲線下面積(area under the concentration-time curve0-4)は平均1943ng・hr/ml,となった。さらに一例は100mg/日の一日一回投与へ,一例は100mg/日の一日二回投与へとそれぞれ変更した。それぞれのトラフレベルは45ng/ml,79ng/ml,血中最高濃度は1100ng/ml,620ng/mlとなり,0から2時間の血中濃度曲線下面積(area under the concentration-time curve 0-2)は,それぞれ,1302ng・hr/ml,854ng・hr/mlとなった。一日一回食前投与のほうが血中最高濃度は高く,トラフレベルが低いため,効果的にみえるが,二回投与の0から2時間の血中濃度曲線下面積は24時間では2倍であり1302ng・hr/ml対1708ng・hr/mlとなるため,最小維持量である100mg/日投与では二回投与のほうが,持続的に効果がある可能性が示唆された。