亜脱臼や臼蓋形成不全が治療を受けずに経過した場合、いずれかの時期に変形性股関節症が発症する。単純X線真後像における、Sharp角、CE角、AHI(acetabular head index)、臼蓋荷重部傾斜角などの計測と、股関節症に特徴的な異常所見を理解しておくことが重要である。臼蓋形成不全に起因する亜脱臼性股関節症は、股関節の解剖学的構造に欠陥があるので、保存療法で疾患が治癒することはない。CE角が20℃以下の患者では慎重な経過観察が必要であり、何らかの股関節症状を有する若年患者に対しては、臼蓋形成術が適応となる。また、特発性大腿骨頭壊死症の早期診断においてはMRIが極めて有用で、多くの例において単純X線像より早く異常所見が出現し、壊死範囲と局在部位を正確に判定することが可能である。MRIによる大腿骨頭壊死症の特徴的な所見は、T1強調画像における帯状の低信号域(band pattern)であり、このバンドより中枢側が壊死域である。早期に壊死範囲と部位を正確に判定することは、治療方針を決定するうえで重要である。