70歳男性。患者は1977年より関節リウマチにて近医で加療中で、1996年からはそう痒を伴う皮疹が出現、市販の外用剤で軽快したため放置していた。しかし、2004年に皮疹が再燃し、再度市販薬を使用するも改善がみられなかったため、2006年7月に著者らの皮膚科へ受診となった。所見では体幹四肢には落屑を伴う紅斑、局面が多発、癒合し、足趾の爪には著明な角質増生と粗造化が認められた。また、両膝は屈曲制拘縮があり歩行困難で、X線では両手根骨の強直、右手指MP関節の尺側偏位がみられた。更に臨床検査所見ではRF、MMP3、抗CCP抗体がいずれも強陽性を示していた。以上、これらのことより、本症例は関節リウマチに合併した尋常性乾癬と診断された。治療としてステロイド軟膏とビタミンD3軟膏の併用、エトレチナート内服を開始し、紅斑と落屑の目立つ下肢にはnarrow band UVB療法を追加した。その結果、治療1ヵ月で皮疹は著明に改善したが、関節症状には変化はみられなかった。