83歳、男性。60歳頃から掻痒を伴う皮疹が出現し、71歳時に初診した。その1年後に施行した皮膚生検の結果は、Darier病類似の組織像であった。高齢発症で家族歴はなく、掌蹠、爪の病変がみられず、また皮疹は10年間寛解増悪をくり返していたことから、Persistent acantholytic dermatosis(PAD)と診断し経過を見ていた。2005年前胸部に淡紅色不整形での角化傾向のある局面が多発し、皮膚生検によりSCC in situと診断した。この際に、PCR-SSCP法による遺伝子検索を行い、ATP2A2遺伝子の変異は見られなかった。この結果と20年来の経過から最終的にPADと診断した。