1歳7ヵ月女児.生後2〜3ヵ月頃までは,啼泣などの胸腔内圧上昇時に著明なチアノーゼを呈し,用手換気を必要とした.気管支鏡検査を施行したところ,啼泣時に気管および気管支の扁平化,狭小化を認めた.気管支造影検査でも同様の所見であった.成長とともに用手換気の回数は減少し,生後7ヵ月で人工呼吸器を離脱したが,その後も啼泣時に回復困難なチアノーゼを認めることがあり,緊急時への対応のため,1歳時に気管切開術を施行した.微量酸素送与のみで呼吸状態は安定したため,1歳5ヵ月時に退院し外来で経過観察中である.SOX9遺伝子の解析を行った結果,新規変異(887 ins C/296 ins C)を同定した.この変異によりSOX9蛋白のTA domainがすべて異常蛋白に変異すると予想され,このためSOX9蛋白の転写活性因子としての機能が失われ,本症を発症したと考えられた.本症例は長期生存例になる可能性がある