A群β溶連菌による化膿性膝関節炎からToxic shock like syndromeに陥った症例を経験した.患者は73歳男で,充分な全身管理を行い,肝庇護剤,膵酵素阻害剤,利尿剤を投与することにより全身状態は改善傾向を示した.抗生剤はアンピシリンとクリンダマイシンを18日間投与,γ-グロブリンも併用し,急性期を乗り切ることができた.その後,滑膜切除術と関節固定術を施行し,患肢を温存できた.症状発現から受診までに1週間以上経過していたにもかかわらず救命に成功し患肢を温存できたのは,関節包がバリアーとなり細菌の増殖や外毒素の影響が関節内にとどまったからではないかと考えられた