77歳女.特に誘因なく軽度の痒みを伴う全身の浮腫性紅斑を主訴に精査加療目的で入院となった.入院時,全身のCT所見では脾腫および左頸部,胸部大動脈周囲,骨盤内のリンパ節腫脹を認め,Gaシンチでも同部のリンパ節への取り込みを認めた.皮膚病理組織学的所見では真皮血管周囲にリンパ球浸潤を認めたが異型性はなく,浸潤細胞はCD4陽性細胞30%,CD8陽性細胞が60%であった.リンパ節病理組織学的所見では,リンパ濾胞構造が破壊され血管成分が増生し,好酸球,CD3陽性の異型リンパ球と免疫芽球,多クローン性B細胞と形質細胞が浸潤していた.以上の所見からangioimmunoblastic T cell lymphomaと診断し,フマル酸ケトチフェン内服,フルオシノニド外用により皮疹は第13病日にはほぼ消失した.本症例は経過中に好酸球性肺炎の合併やセフォクラル内服によるアナフィラクトイド紫斑様皮疹の出現などがあったが,第135病日に消化管出血とDICのため死亡した