鼻・副鼻腔悪性リンパ腫の症状,臨床所見,病理所見の特徴について治療の概略と成績につて述べた.また,鼻・副鼻腔悪性リンパ腫の病態についても言及した.鼻腔原発44例と副鼻腔原発7例の51例を対象にした.鼻腔原発例ではB細胞型4例,T細胞型5例,NK/T細胞型35例であり,副鼻腔原発例では全例がB細胞型であった.鼻腔原発のNK/T細胞リンパ腫は比較的低年齢での発症が特徴であった.初期症状では鼻閉が両原発で共通の症状であった.EBER(EBV-encoded small nuclear early region)の発現ではT細胞リンパ腫の60%,NK/T細胞リンパ腫の91%で陽性だった.鼻性NK/T細胞リンパ腫の治療スケジュールではMTCOP-Pを2ユニット行い,局所に対する放射線療法を併用した.副鼻腔悪性リンパ腫の治療では,全身化学療法と放射線療法を併用した