21歳男。発作性の頭痛,嘔気,眩暈を主訴に入院した。理学的に低身長,難聴,筋萎縮,小脳失調を呈し,血液,髄液中の乳酸とピルビン酸の濃度が高かった。家族歴では3人が突然死していた。心電図検査で左室肥大,心エコー検査でび漫性の左室壁肥厚を認めた。運動負荷により血液中の乳酸,ピルビン酸濃度が著明に上昇したが,心房ペーシング負荷試験では冠静脈洞の乳酸,ピルビン酸は上昇しなかった。右室心筋生検の病理検索の結果,HE染色で心筋の空胞様変性を,Gomori-trichrome染色でragged red fiberを,電顕でミトコンドリアの異常集積像を認めた。また,骨格筋の電子伝達系酵素活性測定ではcomplex 1欠損が認められ,ミトコンドリア脳筋症と診断された