49歳女.約5年前から両手背に自覚症状のない丘疹が多発し放置していたところ,皮疹が改善しなかった.初診時,両手背に直径2mm大迄の正常皮膚色からやや黄色調の境界不明瞭な充実性の丘疹が集簇・散在していた.左手背部の病理組織学的所見では丘疹は真皮上層の浮腫,膠原線維間の開大,走行の乱れ,断裂があり,膠原線維間に好塩基性の沈着物が認められた.この沈着物はアルシアンブルー染色で陽性を示し,トルイジンブルー染色で異染性を示し,睾丸ヒアルロニダーゼ消化試験結果からヒアルロン酸が主体と考えられた.甲状腺機能異常やM蛋白血症等の合併症は認められず,以上の所見から本症例は典型的なacral persistent popular mucinosis(皮膚ムチン沈着症)と診断された.副腎皮質ステロイド軟膏の塗布による加療が行われたが,皮疹の改善は認められず2年を経過した現在,著変を認めていない